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「はまなす」 調査結果報告


 これまで「全国ひきこもりKHJ親の会家族会連合会」が早稲田大学との提携により全国にあ
る支部会員を対象にした『「ひきこもり」の実態に関する調査』を実施してきたところであるが、
改めて「はまなす」の会(会長 吉田 勇)は、2004年4月地域独自の『「ひきこもり」への支援
を考える家族アンケート調査』を実施するに至った。
 こうした地域単位で行われた調査は、東海「なでしこの会」などでも見ることができるが、それ
ぞれの地域のもつ実情や家庭基盤に配慮した支援は今後ますます求められると思われる。
 その意味で、今回の調査は北海道における、ひきこもり者を抱える家族の実態とニーズを可
能な限り把握し、今後の「はまなす」としての活動の方向性を探る一つのきっかけとして注目さ
れるものである。
 今調査(質問紙・自由記述法)は、「はまなす」に参加する会員を対象に、例会時または郵送
により配布した。回収されたサンプル数は35人である。以下、その調査概要を報告する。

@ひきこもり者を必死に支える高齢の親たち
 ひきこもり者の平均年齢が高齢化するごとく、それを支える親の年齢層も高齢化が進行して
いる。今回の調査でも50歳代が68%でもっとも多いが、20%は60歳代で、70歳代の親も
見られる。親だけでは、到底ひきこもり者本人を支えきれない、親・家族を支える基盤がそれ
ぞれの地域単位に設けられることが必要不可欠である。
Aひきこもり者にのし掛かる『年齢』という壁
 ひきこもり者の多くが成人男性である。20歳代が60%、30歳代は32%である。40歳代の
ひきこもり者も珍しくはない。新年度から開始されるニート対策が「若年層への包括的な就労
支援策」とするならば、30歳や40歳はその狭間に取り残される可能性もある。ひきこもり者の
『年齢』が大きな社会参加のバリア(障壁)にもなっていることを社会が認識する必要がある。
B長期化し続けるひきこもりの時間が社会的不利益に
 今調査では、ひきこもりの期間は4〜6年が34%ともっとも多い、がしかし10年以上も21%
ある。ひきこもること自体は否定するものではないが、ひきこもることによる社会的不利益の増
大は避けられない。長期化による家族関係の不調和や、ひきこもり者本人の自信喪失、無欲
化が、ひきこもりからの一歩を阻むことに加担している。
C家庭経済負担の増大は避けられない現状
 家族構成は、3人世帯40%、4人世帯が35%と、ごく一般家庭に見られる。ひきこもり者の
88%が親と同居しており、一人暮らしのひきこもり者は少ない。家庭経済的な負担も多く、札
幌市外からの参加者は50%を占める。地元に親の会がなく、札幌まで足を運ぶ親も少なくは
ない。行政機関や保健所の態度が鈍い地域もあり、今後の課題となっている。
D相談治療機関で良かった場所は「親の会」!
 ひきこもり者やその家族を支援している団体機関で一番良かったと回答したものは「親の会」
45%であった。「同じ悩みを持つ人がいて気持ちが少し楽になった。話を聞いて、アドバイスを
くれる。同じ悩みの親と知り合い、心から話合える。」などの理由からである。一方、良くなかっ
たところでは、多くは無回答、少数ながらあげられたところはすべて公的な機関であった。
E親としての不安・悩みは「ひきこもりからの一歩への道筋」
 親の不安・悩みの54%が「ひきこもりから一歩踏み出すきっかけの方法・支援」。次いで、多
いのが「親なき後の生活保障」27%である。「就労する場の確保」とあげた親は5%に留まっ
た。就労以前の課題があり、ひきこもり者の多くが家から一歩も出られない現状が長く続いて
いて、さまざまな症状や社会的なスキル不足を抱え、将来への不安をもつ親の実態がある。
F「はまなす」として取り組むべきこと「社会へのアクション」
 会への要望は分散化した。「生活・就労体験施設の建設」「訪問サポート士の養成」「国・行
政への陳情」がそれぞれ20%を占めた。一言にひきこもりといっても多種多様である。
 KHJ本部との連携希望者については4%足らずで、1割にも満たない。本部の姿勢・取り組
みが海を渡って北海道の親にまで届いていない現実があるようである。
 個別相談会の開催が28%と今後の企画要望で一番多く出されたことは相談窓口体制を含
め、公私ともにマンパワー不足、地域情報ネットワーク網の不備と理解せねばならない。

 今調査をもとに、「はまなす」の会では、検討を重ね、さらに継続した調査を実施しつつ、地域
に根ざした取り組みを進めていきたいと思う。変わらぬご支援とご協力を切に願うものである。

*本調査をもとにまとめた論文(研究ノート)が、北海道地域福祉研究第9号(2005年)に
掲載されました。


                                           (事務局長  田中 敦)


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